【築地新聞】マグロ今昔うつりかわり&マグロの種類

マグロ今昔うつりかわり

縄文時代の遺跡からマグロの骨が見つかったため、「縄文時代から人間の祖先はマグロを食べていた」ということが判明しました。このように、歴史を紐解くとマグロと日本人の関わりは古い、かつ深いことが分かります。8世紀頃の万葉集でもマグロのことを下記のように思い入れたっぷりと詠んでいます。

鮪(しび)衝くと海人(あま)のともせる漁火の ほにか出でなむわが下思いを

万葉集巻19 4218

現代、主にマグロは生で食べられていますが、氷が十分に調達できなかった遥か昔は「鮮度の良いマグロを食べること」は難しかったようです。基本的にはマグロを焼いたり、煮たりして調理してましたが、遠隔地へマグロを届ける際は塩漬けにするといった工夫なども行っていました。

今昔うつりかわりでマグロを生で食べるようになったのは、江戸時代中期にお寿司屋さんがマグロを醤油にひたした「ズケ」で握ったものが評判になってからです。これがマグロの握り寿司の始まりだといわれています。それ以降は、生食としての美味しさが広く知れ渡っていきました。

戦前まではマグロは赤身が人気となり、トロは不人気でした。その時代のトロは安値で惣菜に回されたり、加工品にされたりしてなんとか消費されていましたが、現在ではトロは高級食材となっており、人気が逆転しています。これは戦後、日本人の食生活が洋風化し、脂肪分が好まれるようになったからだといわれています。口の中でとろける美味しさは、肉食に慣れた私たちの味覚にとても新鮮に感じられたのです。

近年では健康食品としてマグロが脚光を浴び、コレステロールを分解するEPA、脳の働きを良くするDHAが特に赤身に多く含まれていることもあって、再び赤身の良さが見直されています。

なお、マグロはかつて近海ものの魚でしたが、現在では多くを遠洋に求めています。昭和40年代以降の冷凍技術の急速な進歩がマグロ漁を大きく変えました。マイナス60度の急速冷凍庫をもつマグロ漁船は、世界中の旬のマグロを獲れたての一番新鮮な状態で市場に届けます。そのため、私たちは一年中美味しいマグロが食べられるようになったのです。

いにしえより日本人に愛されてきたマグロ。刺身、寿司、加工品、それぞれの食べ方に味わいがあります。栄養価が高く、安心して食べられるマグロは、いつも私たちの身近な魚です。

クロマグロ

スズキ目 サバ科 マグロ属
学名:Thunnus Thynnus(LINNE)
英名:Bluefin Tuna

別名シビ、ホンマグロともいいます。

大型で、体長3m、体重400キロ以上に達するものもあります。3キロ~8キロのものをメジマグロ(マグロの子ども)、20キロ前後を大メジ、40キロ前後は中鮪といいます。基本的に50キロ以上が成魚とされており、80キロ~150キロ前後のものはスジも薄く非常に美味しいとされています。

近年クロマグロの「トロ」がもてはやされており、腹の霜降り部分が「大トロ」、背の皮ぎし部分が「中トロ」で、口の中でとろける味わいは格別とされています。クロマグロは近海物が上物で、特に冬期の北海道沖で獲れるものが最高級といわれています。

昭和40年代からアメリカ北大西洋のクロマグロが日本の市場に入荷するようになりましたが、これは近海ものとは体型も異なり、味もやや大味とされています。これらはジャンボ機で空輸されることや体型も大きいことから通称「ジャンボ」と呼ばれています。

マカジキ

マカジキ スズキ目 マカジキ科 フウライカジキ属
学名:Makaira Mitsukurii(PHILIPPI)
英名:Spriped Marlin

カジキはカジキマグロと呼ばれ、マグロの仲間と思われがちですが、マグロがサバ科であるのに対して、カジキはマカジキ科、メカジキ科で、全く別種の魚です。カジキにはマカジキ、メカジキ、バショウカジキや特に大型で500キロに達するクロカワカジキ、シロカワカジキなどの種類があります。マグロに比べ肉色は薄く赤みを帯びた橙色で、淡白な味わいを持っており、身が変色しにくいという点で好まれています。

中でも冬期に関東近海で獲れるマカジキは最も美味しいといわれています。体長3m、体重130キロ以上に達する大きな魚で、その漁獲は船先からモリで突く「突棒」という方法がとられているのです。