おさかな普及センター資料館
さかなの知識あれこれ
「あかうお」とは何か No.18
「あかうお」とは何か。

(1)「あかうお」は、いくつかの輸入メヌケ類(フサカサゴ科メバル属のうち、体が赤い種類)の流通上の名称。現在、「あかうお」と呼ばれているものは、アラスカメヌケ(北部北太平洋産)、モトアカウオおよびチヒロアカウオ(北部北大西洋産)の3種である。

(2)ハゼ科の1種の標準和名(和名)

(1) アラスカメヌケ Sebastes alutus
最も早くから「あかうお」として流通した魚。阿部(1970)は「新顔の魚」で本種の和名を「アカウオ」としたが、既に本種に対しては上野(1965)や岡田・小林(1968)などによりアラスカメヌケという和名が使用されていた。
 宮城県以北、ベーリング海からカリフォルニア南部に分布。水深55〜640mに生息し、体長は40cmぐらいになる。ベーリング海・アリューシャン列島周辺・アラスカ湾で漁獲されたものが、アメリカなどから冷凍のドレスで輸入されている。煮付け、塩焼き、唐揚げ、粕漬け、干物など。

モトアカウオ(タイセイヨウアカウオ) Sebastes marinus
 北部北大西洋の水深100〜1000mにすむが、400m以浅に多い。体長は1mになるが、35〜55cmがふつう。カナダ沖・アイスランド・グリーンランド周辺海域で漁獲されたものが、ヨーロッパなどから冷凍のドレスで輸入されている。利用方法はアラスカメヌケと同じ。

チヒロアカウオ(オキアカウオ) Sebastes mentella
 北部北大西洋の水深300〜1000mにすむが、400〜600mに多い。体長は55cmになるが、40cmまでがふつう。モトアカウオと同じ海域で漁獲され、ヨーロッパなどから冷凍のドレスで輸入されている。利用方法はアラスカメヌケと同じ。


(2) アカウオ Ctenotrypauchen microcephalus
ハゼ科アカウオ属の魚。太平洋側では愛知県から宮崎県、日本海側では新潟県から長崎県に分布し、国外では朝鮮半島以南のインド・西太平洋に分布する。主に内湾の軟らかい泥の中にすむ。全長16cmになる。小型で漁獲量も少ないので利用されない。


阿部宗明. 1970. あかうお. p.4. 新顔の魚I. 伊藤茂造魚学研究所, 東京.
阿部宗明. 1989. チヒロアカウオ モトアカウオ. p.3-4. 新顔の魚XIX. 伊藤魚学研究振興財団, 東京.
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石田 実. 1995. タイセイヨウアカウオ. p. 151. 岡村 収ほか(編). グリーンランド海域の水族. 海洋水産資源開発センター, 東京.
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岡田 雋・小林喜雄. 1968. 北洋魚類図説. (社)北洋鮭鱒資源調査研究会・(社)日本水産資源保護協会, 東京.
千国史郎ほか (編). 1972. カラー遠洋漁場の底魚類. 日本トロール底魚協会, 東京.
中坊徹次 (編). 日本産魚類検索 全種の同定 第2版. 東海大学出版会. 東京.
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山田陽巳. 1995. オキアカウオ. p. 153. 岡村 収ほか (編). グリーンランド海域の水族. 海洋水産資源開発センター, 東京.
輸入食品事典研究会(編). 1998. 改訂版 品目別輸入食品事典. サイエンスフォーラム, 東京.

(注:提供資料から一部アレンジ)