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“いんどかれい” とはどんな魚か/東京都中央卸売市場年報の “いんどかれい” は標準和名か |
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“いんどかれい” は、長崎・福岡・下関地方でのババガレイの呼称の1つ。
平成14年度東京都中央卸売市場年報によれば、 “いんどかれい” は、兵庫県(229kg)・鳥取県(158)・島根県(581)・山口県(2009)・長崎県(7)から合計2984kg入荷した。 |
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“いんどかれい” の由来は定かではない。
ババガレイはカレイ科の魚で、体長60cmになる。駿河湾以北、日本海各地、オホーツク海、千島列島南部、黄海、渤海(ぼっかい)、東シナ海の水深50-450mの砂泥底に生息。三陸から北海道の太平洋岸に多く分布する。ゴカイ類、ヨコエビ類、クモヒトデ類などを捕食する。
口は小さく、両顎とも歯は無眼側にのみ発達。鱗は小さい円鱗で、皮下にやや埋没している。鰭条(きじょう、ひれすじ)は肥厚する。体の表面には粘液が多く、ぬるぬるしている。 “なめた(滑多)がれい” 、 “あわふき” 、 “あぶくがれい” などとも呼ばれるゆえんである。
産卵場は三陸沖、津軽海峡西口付近および釧路以東海域で、特に八戸沖には大きな産卵場がある。産卵場の水深は100〜300m。産卵期は3-4月で、直径1.5〜1.8mmの球形の分離浮性卵を産む。10〜11日でふ化し、ふ化仔魚の全長は3.9〜4.9mm。1才で体長8〜9cm、2才で12〜15cm、3才18〜20、4才で22〜24cm、5才で25〜28cm、6才で27〜31cm、7才で29〜34cmになる。雌は体長32cmで、雄は18cmで成熟しはじめる。
刺網、底曳網、延縄(はえなわ)などで漁獲される。主に鮮魚で流通し、高級魚として扱われる。肉厚で煮付けにすると美味しいが、フライや唐揚げもよい。旬は冬で、特に東北地方では年越しや正月の料理として珍重される。
全国の統計資料はないが、東京都中央卸売市場への入荷量(統計資料の鮮魚の “なめたがれい” と “いんどがれい” の合計量)は平成14年度約767トンであった。
市場では、標準和名のババガレイよりも “なめたがれい” と呼ばれることが多い。このほか、うばがれい・おばがれい(東北地方)、ぶたがれい(北海道)、やまぶしがれい(石川県)など地方名も多い。
ババガレイ属 Microstomus には、ババガレイM. achne のほかに、アメリカナメタガレイM. pacificus(ベーリング海からカリフォルニア沖)、Lemon
sole M. kitt(東部北大西洋)および M. shuntovi(北大西洋の天皇海山)の3種が含まれる。アメリカナメタガレイと
Lemon sole はラウンドの冷凍で築地市場にも入荷する量は少ない。ババガレイと同じように利用される。
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坂本一男. 1984. ババガレイ. p.339. 益田 一ほか(編). 日本産魚類大図鑑. 東海大学出版会, 東京.
東京都中央卸売市場経営管理部業務課. 2002. 平成14年度東京都中央卸売市場年報(水産物編).
三原行雄. 2003. ババガレイ. pp.240-241. 水島敏博・鳥澤 雅(監). 漁業生物図鑑 新 北のさかなたち. 北海道新聞社, 札幌.
山田梅芳. 1986. ババガレイ. pp.396-397. 山田梅芳ほか(編). 東シナ海・黄海のさかな. 西海区水産研究所, 長崎. |
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(注:提供資料から一部アレンジ) |
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