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“さくらだい” とは何か |
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市場で “さくらだい” と呼ぶのは、桜の咲く時期にとれる雌のマダイのこと。標準和名のサクラダイは、ハタ科ハナダイ亜科の一種で、市場に出ることはない。ほかに西アフリカ産で冷凍で輸入されるタイ科の一種が
“さくらだい” と呼ばれたことがある。 |
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通常、マダイの成魚は水深100m以深にすんでいるが、産卵期になると水深50m前後の浅い岩場に集まってくる(釣り人の間では “のっこみ”
と呼ばれる)。マダイの産卵期は、九州沿岸3〜4月、瀬戸内海5月、本州中部4〜5月、日本海北部6月となっており、南で早く北に行くにつれて遅くなっている。この時期のマダイは雄は黒ずむが、雌はより鮮やかになる。
今日ほど漁業技術の発達していなかった時代には、マダイが群れをなして浅場に来るこの時期は、マダイ漁の時期でもあった。 “さくらだい” の名は鎌倉時代から知られているが、桜が咲くころに捕れる桜色に輝くマダイは、まさに
“さくらだい” と呼ぶにふさわしい魚ということであろう。なおマダイの産卵場所は各地にあるが、有名な場所は明石、鳴門、長崎、若狭、東京湾口などである。
標準和名のサクラダイは、ハタ科ハナダイ亜科サクラダイ属の魚。相模湾から長崎県に分布し、水深25m以深の岩礁に群れている。雌雄で体色が異なる。体調14cmぐらいにしかならず、また、まとまって漁獲されないので、ふつう市場にでることはない。
西アフリカ沿岸に分布し、冷凍で輸入されるタイ科の1種アサヒダイ Pagellus bellotii に対して、 流通名として “さくらだい”
が使用されたことがある。
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阿部宗明. 2003. 新顔の魚1970-1995 復刻版. まんぼう社, 千葉.
遠洋水産研究所(監). 1972. カラー遠洋漁場の底魚類. 日本トロール底魚協会, 東京.
岡村 収・尼岡邦夫. 1997. 山渓カラー名鑑 日本の海水魚. 山と渓谷社, 東京.
おさかな普及センター資料館. 1999. おさかな情報No.5 「鯛と日本人」.
落合 明・田中 克. 1998. 新版 魚類学(下) 改訂版. 恒星社厚生閣, 東京. |
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(注:提供資料から一部アレンジ) |
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