アカムツはホタルジャコ科の魚で、福島県・新潟県から鹿児島県、西太平洋から東部インド洋までの水深100-200mに分布。背鰭(せびれ)は1つで、棘条部と軟条部の間は深く凹む。背鰭と尻鰭(しりびれ)の棘条は細い。口や眼は大きい。鱗(うろこ)は大きな櫛鱗(しつりん、後ろに小さい棘のある鱗)で、はがれやすい。体は赤い(朱紅色)が、腹の方はやや淡い。口内の後部は黒い。
主に小型魚類を食べるが、アミ類、エビ・カニ類、イカ類も捕食する。産卵期は7-10月。山陰沖では冬期底曳網で大量に漁獲される。全長40cmになる。
刺身、たたき、煮付けなどにして美味しい魚である。
口内の後部が黒いことから “のどくろ” と呼ばれるのであろう。
ユメカサゴはフサカサゴ科の魚で、岩手県以南、東シナ海、朝鮮半島南部の水深200〜500mの砂泥底に生息する。胸鰭(むなびれ)の上腋部(じょうえきぶ、胸鰭の内側の上部)に大きい皮弁(ひべん)が1つある。体は赤く(朱紅色)、赤褐色の横帯(おうたい、横じま)が4本ある。鰓蓋(さいがい、えらぶた)の内面は黒い。
体長は30cm前後になる。美味しい魚で、さまざまな惣菜にされる。
鰓蓋の内面が黒いことから “のどくろ” の呼称があるのであろう。
このほか、神奈川県や千葉県では、ソウダガツオ類(ヒラソウダとマルソウダ)を “のどく(ぐ)ろ” とも呼ぶ。相模湾では、沖合生活型のマアジを “のどくろ”
と呼ぶ(沿岸生活型を “まあじ” または “あじ” と呼ぶ)。ソウダガツオ類の場合、鰓孔(さいこう、えらあな)上端の暗色斑からであろう。
マアジも、
鰓孔の上端周辺にある黒斑からと思われるが、鰓膜(さいまく、鰓蓋[さいがい、えらぶた]の下方の内側にある膜)が黒い(大型のものほどより黒い)ことからかもしれない。三崎地方のキンメダイの立縄釣にかかる大型のマアジの鰓膜は真っ黒である。
築地市場では、アカムツは “のどくろ” 、ユメカサゴ(東シナ海産)は “あらかぶ”※ と呼ばれることがある。
※ “あらかぶ” は九州でのカサゴ(フサカサゴ科)の呼称。 |