おさかな普及センター資料館
さかなの知識あれこれ
魚の雌雄 No.43
タラ・ヒラメ・トラフグ・スズキの雌雄はどこで見分けるか。

魚類は一般的に雌雄異体である。しかし、色(ベラ・ハナダイ・タナゴなど)や形(サケ・タツノオトシゴなど)で雌雄を区別できる魚は少なく、食用魚としてなじみのあるアジ類、イワシ類、サバ類、ヒラメ、マダラ、フグ類などは外見だけでは区別できない。ふつう、雌雄でペアとなって産卵する魚(サケ、カワハギ、カサゴなど)は、外見上の雌雄差が明瞭である。これは、相手に性別を知らせるためと考えられている。一方、群れで産卵するものは雌雄差がない(マイワシ、サンマ、マアジなど)。

外見で区別できる魚
  ウマヅラハギ(雄は雌より細長い)
  オイカワ(雄の体色が鮮やかで、臀鰭も大きい)
  カサゴ、メバル類(雄に交接器がある)
  カワハギ(雄の背鰭の前部の鰭条が糸状に伸びる)
  キュウセン(雄の体色は緑、雌は黄〜オレンジ)
  コブダイ(雄の頭部が迫り出す)
  サケ・マス類(雄の顎が曲がる)
  サメ・エイ類(雄の腹鰭の付根に交尾器がある)
  シイラ(雄は額が迫り出す)
  シシャモ・カラフトシシャモ(雄の臀鰭が大きく輪郭が丸くなる)
  ドジョウ(雄の背鰭後方が隆起する)
  ネズッポ類(雌雄で斑紋が異なる)
  ブダイ(雄の体色は緑がかる、雌は茶〜赤)
  フナ類(雄だけに追星がでる)
  マダイ(雄の体が黒ずむ)

雌の体に寄生する、一部のアンコウ類を除いて、魚の雌雄は体の大きさで区別できないが、雌雄で成長速度が異なったり、最大体長が異なるものがいる。たとえば、キアンコウやヒラメは雌の方が最小成熟体長が大きい。

外見で区別できない魚
  アイナメ、アオダイ、アカヤガラ、アジ類、アマダイ類、アユ、アンコウ類、イサキ、イシダイ、イトヨリダイ、イボダイ、ウシノシタ類、ウナギ、イワシ類、オニオコゼ、カジキ類、カツオ、カマス類、カレイ類、ギンポ、キンメダイ、コイ、コノシロ、サバ類、サワラ、サンマ、シロギス、スズキ、タチウオ、タラ類、トビウオ類、ニシン、ニベ類、ハタ類、ハタハタ、ハモ、ヒラメ、フグ類、ブリ類、ホウボウ、ボラ、マアナゴ、マグロ類、マゴチ、マナガツオ、マハゼ、ムツ、メジナなど

雌雄異体の魚でも、まれに卵巣と精巣を合わせ持つものがいる。これまで報告されているもののなかで、サケやマダラのような場合、食用として問題ないが、「両性フグ」と呼ばれるフグ類の場合は注意が必要である。フグ類*では、精巣は無毒のものが多いが、卵巣はほとんど有毒(しかも猛毒や強毒が多い)だからである**。このため、「両性フグ」の生殖腺は有毒部位とみなされ、食用として認められていない。

* ここでは厚生省の通達により食用として認められている、日本産フグ科17種について。
** 精巣については、17種のうちクサフグ・コモンフグ・ヒガンフグ・サンサイフグを除いて食用可(Q&Aシート026参照)。卵巣はすべて食用不可。


おさかな普及センター資料館. 2004. Q&Aシート No.026「フグの安全性」.
北濱喜一. 1984. ふぐ大学. 保育社, 大阪.
松原喜代松・落合 明・岩井 保. 1979. 新版 魚類学(上). 恒星社厚生閣, 東京.
水島敏博・鳥澤 雅. 2003. 漁業生物図鑑 新 北のさかなたち. 北海道新聞社, 札幌.
山田梅芳ほか. 1986. 東シナ海・黄海のさかな. 水産庁西海区水産研究所, 長崎.

(注:提供資料から一部アレンジ)