銀鱈(ギンタラ)  和名も銀鱈で、分類的にはカサゴ目ギンタラ科ギンタラ属の魚です。
  特徴として体は細長く、丸い断面。色は黒灰色で腹部は白い。主な産地は北太平洋のカナダ、アラスカ、ロシアの水深300〜500mの泥底にすみ、最大115cm位になり、寿命は20年以上になる魚です。身は白身で脂の多い美味しい魚です。ギンタラ科の魚にはもう一種、アブラボウズがいます。日本の近海の深い海にすみますが、食用には脂が強すぎて向きません。
  漁法としては底曳網、底延縄が用いられています。70年代から我が国に搬入され、大衆魚として定着しています。量的には88年をピークに減少傾向で、築地市場の入荷量も93年を境に減りつつあります。国内では北海道以北にも分布しますが量は多くなく、寒流の勢いが強かった年には相模湾でも獲れたことがあるそうです。冷凍のドレスが入荷しますが、最近カナダでは「小型」を養殖し、生が築地へ入荷したこともあります。

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 ギンタラは粕漬、味噌漬、煮付け、惣菜用の切身として、広く用いられています。味は脂がのっていて非常に美味しい白身の魚です。
  最近は刺身、寿司ダネとしても用いられています。アメリカでは主に燻製。70年代の輸入当初は鮮度、処理の悪いものが多く、そのため廉価でした。
  その頃特有の脂の強さと身質の軟らかさで、焼くと『身が崩れてなくなった』話があり、『天狗にさらわれた』と話題にもなりましたが、その後鮮度処理もよくなり溶ける原因も解明されると「話」から消えました。高級魚に近付いた時期もありましたが、その地位はメロにとって替わられた様で、最近は大衆魚として定着していますが、傾向としては価格的に確実に上昇気配です。
(田ノ口邦雄)