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鰹は世界中の温帯から熱帯にかけての海に広く分布する魚で、幼魚の時は小さなイカ類や甲殻類を餌としていますが、成長すると好物のカタクチイワシを食べながら、大群をなして日本近海に近づき、黒潮にのって太平洋岸を北上します。このカツオを“上りカツオ”と呼びます。北上したカツオは三陸沖、時には北海道の南まで達すると、冷たい寒流にぶつかって生活できなくなり、クルッとUターンして、今来た道より少し沖合いを南へ、産卵のために下っていきます。夏から秋にかけて南へ下るカツオを“下りカツオ”“戻りカツオ”と呼んでいます。餌を追いながらの長い航海によって、体も春先に比べて一段と大きく、脂肪の乗りも倍加してクロマグロに負けない味と人気も出てきます。この脂ののった身質が最近の消費者の嗜好に合っていることと、価格が春の“上りカツオ”に比べて半額程度ということもあって、秋の魚として“秋刀魚(サンマ)”と人気を二分しています。 |
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鮮度の見極め方としては、目が生き生きとして黒く澄んでいて、魚体の縞目がはっきりとしていること、尻尾の部分を逆なですると、紙ヤスリの様にザラつきが多いこと、体に張りがあることなどです。おろし身で売られているものは、身につやのある、赤身の鮮やかなものを選んで下さい。代表的な食べ方は、刺身・タタキですが、薬味に生姜、ニンニク、ミョウガ、ネギなど香りの強い香味料の他、マヨネーズも合いますが、“下りカツオ”にはワサビが一番の様です。
(宮内一郎)