タカベ  タカベは日本固有の魚です。
  本州中部から南の暖かい海域、それも潮通しの良い岩礁帯に棲む魚で、特に伊豆諸島や小笠原諸島に多く見られます。
  大きな群れをつくって泳ぐ姿は、写真やテレビなどでよく撮られていますが、黄色の縦縞がストロボの光に反射してネオンサインの様です。黄色の線が体の高い所を走っているところから、タカベという名が出たといわれています。この「ベ」はヤマベ等と同様に魚を意味する“音”です。
  よく見ますと上あごから頭にかけての丸味がイボダイそっくりです。イボダイやマナガツオに近い仲間で身の軟らかさも似ています。
  今、築地の市場には伊豆七島の新島・神津島・式根島などから、又紀州、九州からも入荷していますが例年に比べて少なめです。
  それでも全体の漁獲量のうち80%が伊豆諸島からですので、タカベは正に「東京都の魚」といえると思います。

プロの目きき味きき

 タカベの旬は6月、7月、8月の約3ヶ月です。年によっても違いますが7月8月の2ヶ月位の年もあるように漁模様で入荷量も大きく変わります。同じ焼き魚の「秋刀魚」に押されて、影が薄くなるきらいがありますが、魚屋さんで見かけたら、是非お買い求め下さい。焼き魚が絶品です。脂ものった夏の魚です。焼きたてにおろし生姜を添えて。
  焼き魚は、焼く前に塩を振ることを忘れずに。塩が魚の旨味を引き出してくれます。
(宮内一郎)


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